カテゴリ
三冬のシャープ・サイト
以前の記事
2009年 06月 2009年 04月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
1811年3月、バルロッサの戦い。
第3部 戦闘 第11章 - 3 ラヴァル将軍は、同僚のラッフィン将軍が丘を攻撃している一方で、松林のほうに進撃しました。 前方に広がって進む4千人の兵士たちで構成された6大隊でした。ラヴァルは4大隊を前方に、2大隊を後方に配置しました。 フランス軍の各大隊は、それぞれ6中隊で構成されていました。師団の縦列は横に2中隊、奥行き3中隊で並びました。 太鼓手が彼らを鼓舞していました。 ホイートリー大佐にはその4千の軍勢に対して2千の兵士たちが与えられていました。戦いは、混乱の中で始まりました。 司令官が到着した時、部隊は進軍の命令を受けたところでした。そして、松林の中は大混雑でした。 コールドストリーム守備隊の2中隊はホイートリーの部下たちの真ん中を突っ切っており、彼らを本来所属するディルクスの部隊に合流させる命令を出す時間もなく、やむを得ずコールドストリームはホイートリーの指揮下で闘うことになりました。第67ハンプシャー連隊の半数は、迷子になっていました。この5中隊は本当はホイートリーとともにあるはずでしたが、気づいたらディルクスの指揮下に入っていました。 手っ取り早く言うと、それは混沌状態でした。深い松林の中で大隊将校たちは自分の部下たちを見渡すことが出来ず、しかし中隊将校と下士官たちはなんとか仕事をこなしており、レッドコートたちを木々をぬって東に導いていきました。 まず松林から姿を現したのはライフル隊の400人とポルトガルの突撃隊300人でした。 その将校たちの多くが馬に乗っており、フランス軍は林から現れた敵軍に驚き、騎兵隊の攻撃だと思ったのでした。 その印象は、80騎の馬に引かれた砲兵隊10部隊がチクラーナの左の林から砲撃したことによってさらに強められました。そして林から出た歩兵たちは砂や土埃を巻き上げて右側から攻めてきました。 いちばん近くにいたフランス軍の2大隊には砂煙の中の馬だけが見え、騎兵隊に備えて四方陣形を取りました。 砲兵たちは砲車から飛び下り、大砲を持ち上げて狙いをつけ、その間に馬たちは松林に隠されました。 「砲弾を使え!」 ダンカン大佐は叫びました。 砲車から砲弾が運ばれ、将校たちは導火線を短く切りました。フランス軍への距離が短かったのです。 フランス軍もまた、突然の混乱に陥りました。 2大隊が四方陣をとり、空想上の騎兵隊に備えていたのですが、残りの部隊は英軍の大砲が火を噴き始めたのを見てためらいました。 砲弾が荒野の上300ヤードを越え、それぞれ波打つ煙の尾を引いて飛びました。ダンカンは視界のいい馬上から、方陣の真ん中に砲弾が落ちたのを確認しました。 「よし!いいぞ!」 と、彼は怒鳴りました。そしてちょうどそのとき、ライフルマンとカサドールたちの突撃隊が射撃を開始しました。銃声が響き、フランス軍はその猛撃にひるんだようでした。 縦列の前方は銃撃を返しましたが、突撃隊はフランス軍の前列を蹴散らしました。フランス軍のマスケットの銃撃は散発的で不確かでした。一方でフランス兵たちは密集体型を取らされており、近距離にいるライフルの格好の標的でした。 英軍右翼の二つの砲兵中隊は再び砲撃をし、ダンカンはフランス軍の馬の部隊が荒野を駆けてくることに気づきました。 彼は大砲6門に命じました。 「ラウンド・ショットだ!」 と、彼は叫びました。 「上手く転がすんだ!」 兵士たちは弾道を変えるために梃子で砲身を動かしました。 「やつらの大砲に当てろ!」 と、ダンカンは命じました。 フランス軍は、もう立ち直っていました。四方陣形の2つの大隊はミスを悟り、横列に展開しなおしました。 副官たちが大隊の間を馬で駆け抜け、前進、射撃、その射撃に集中して突撃隊を撃破することを命じて回っていました。 太鼓も再び始まり、「パ・ドゥ・シャージ」を打ち鳴らして兵士たちの 「皇帝万歳!」 の叫び声を誘っていました。 最初は弱弱しいものでしたが、将校や軍曹たちが大声で叫ぶことで、兵士たちの間にも雄たけびが広がりました。そして2度目の鬨の声は、しっかりとしたものになっていました。 「皇帝万歳!」 「撃て!」 と将校の一人が叫び、前列から正面のポルトガル突撃隊に向けて発砲が始まりました。 「前へ進め!」 死傷者を収容して突撃隊を撃破する番でした。 英国の砲門は仏軍砲兵隊に向けられたため、砲弾は歩兵の隊列を砕くことはありませんでした。 「皇帝万歳!」 それぞれの隊列の戦闘に続く8列の兵士たちは、死者と死にかけている者たちを踏み越えて進んでいきました。 「撃て!」 さらに射撃が続きました。 4000の兵士たちが700人に向かって行進していました。 フランス砲兵隊は歩兵の隊列前面を横切って砲弾を発射しました。 爆風で草がなびき、ポルトガルのカザドールたちと英軍ライフル隊員は血まみれになって放り上げられ、たたきつけられました。 突撃隊は退却を始めていました。 フランスのマスケット部隊はあまりにも密集しており、6門の敵の大砲が彼らに向かって発射されました。 一瞬の静寂の後、ラウンド・ショットが兵士たちを彼らをなぎ倒し、100ペースあまりも大砲を引きずりました。 射撃が何度も何度も続き、突撃隊は血まみれのぼろに姿を変えました。 フランス軍の前方の4大隊は勝ちを急ぎました。 進軍しながらの装填は難しく、彼らの射撃は次第にまばらになりました。兵士たちの中には、銃剣を装着するものもいました。 英軍突撃隊は後退し、林の間近にまでせまりました。 ダンカンの左翼の大砲2門は危機を察し、砲弾と榴弾をフランス大隊の前面に発射し、前列の兵士たちは巨大なものに踏みにじられたように血煙をあげて倒れました。 そしていきなり、林にそって兵士たちの大群が現れました。 シルバー・テイルズはホイートリーの左翼に並び、その横にはコールドストリームの迷子の2中隊がいました。 ゴーフのアイルランド部隊は近衛隊の右に、そして第67連隊の半分、そして大砲の次には第47連隊カリフラワーの2中隊が並びました。 「止まれ!」 号令が森にそって響きました。 「待て!」 軍曹が怒鳴りました。 兵士たちの中には銃を持ち上げたものもいました。 「命令を待て!」 「右向け、右!」 声と、馬上からの将校の叫びと、木々の間の無秩序な軍勢の中で整列の命令を軍曹による伝令との混乱でした。 「見ろ、みんな!見えるか!朝のお楽しみだ!」 ミーズ郡産の鹿毛の去勢馬に乗ったヒュー・ゴーフ大佐は第87連隊の彼の大体の後ろにいました。 「練習用の的を見つけたぞ、諸君!」 と、彼は叫びました。 「だがもう少し待て。もう少しだ」 新しく到着した大隊は、整列を回復していました。 「前進させろ!」 ホイートリーの参謀たちが叫び、2列の長い隊列は荒野の上を、戦死したり死にかけたりしている突撃隊の兵士たちの体を踏み越えて歩を進めました。 第67連隊をフランス軍の放った砲弾が掠め、一人の兵士を真っ二つにし、12人の兵士たちに血しぶきを浴びせ、後方にいた兵士の片腕をもぎ取りました。 「集結!集結!」 「止まれ!構え!」 「皇帝万歳!」 「撃て!」 冷厳な数学の法則が戦闘の場に応用されていました。 フランス軍はイギリス軍に対して2倍の数で圧倒しており、ただ、フランス4個大隊は分割されていて、各々の大隊が9列になり、1列に平均してだいたい72人の兵士たちが並ぶということになりました。1列に72人が並んだ4大隊は300足らずの銃を前列に構えていました。実際には第2列の兵士たちも前列の戦友の肩越しに射撃をすることも出来ましたが、それでもラヴァルの4千の兵士たちのうち実際に英軍に射撃が出来るのは600丁の銃だけで、それに対して英軍はすべての兵が銃を撃つことができ、ホイートリーの軍勢は、今では1400以上になっていました。 フランス軍の新劇を遅らせる働きをした突撃隊は側面に走りこみました。 そして、ホイートリーの軍勢は射撃を開始しました。 銃弾はフランス軍部隊の先頭に食い込みました。 レッドコートたちは煙に隠され、その陰で銃の再装填をしていました。 「小隊ごとに射撃!」 将校たちは叫び、連射が始まることになりました。中隊の半数がすぐに発砲し、そして次に残りの半数が、というように銃弾が途切れることはありませんでした。 「どんどん撃て!」 将校の一人が怒鳴りました。 散弾筒が煙を切り裂いて破裂しました。 片目を打ち抜かれた兵士がよろめいて倒れ、その顔は血だらけでした。しかしフランス大隊のいたるところで、銃弾によりさらに多くの血が流されていました。 いつもは段落ごとに訳しているのですが、この段はいつもより長いことと戦闘の描写ばかりなので、訳にてこずっています。 訳しても訳しても終わらない・・・。 ずいぶん時間がかかりましたが、段落の半分くらいで切りました。 週明けに続きを。次はシャープが出てきます。 来週と再来週は忙しいのでどれくらい訳せるかわかりませんが、がんばります。
by richard_sharpe
| 2008-12-12 16:36
| Sharpe's Fury
|
ファン申請 |
||