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1811年3月、バルロッサの戦い。
第3部 戦闘 第10章 - 2 舟橋から100歩ほど上流に向かったあたりで、細い水路がサンクティ・ペトリから南へと枝分かれしていました。その水路はアルマンザと呼ばれ、そこの一帯はは葦と草と水、そしてアオサギ狩りの湿原でした。その水路は内陸に向かい、したがって海岸に沿って北上してくる軍隊に、次第に狭くなる地面とサンクティ・ペトリ川にぶつかって終わる海岸線とを知らしめることになりました。アルマンザ・クリークは干潮で1マイル、満潮になるとその2倍の長さになり、それがあることによって川に向けて北上することが可能でした。 もし敵軍がこの水路を渡ることができ、船橋を渡って退却しようとするものを阻むことができれば、それは致命的な罠になるわけでした。 アルマンザ・クリークはたいした障壁にはなりませんでした。その入り口以外でなら、どこでも渡ることができました。そして1811年3月5日午前9時、潮は満ち始め、フランス軍はそれを簡単に渡ることができました。 彼らは水しぶきを上げて湿原を横切り、泥の土手を滑り降り、水路の砂床を歩いて砂丘に登り、海岸に達しようとしていました。水路は兵士たちにも馬にも障害にはなりませんでしたが、砲兵隊には問題でした。 大砲は重過ぎました。フランス軍の12ポンド砲は、皇帝の銃器製造所でも最も一般的な火器でしたが、1.5トンはありました。そして大砲とその砲身、弾薬箱、そして砲兵たち似湿原を渡らせるには、工兵隊の手が必要でした。そしてヴィクトール元帥がヴィラット将軍の師団にアルマンザを渡るように命じたときには、水路を渡る道を作らせるために工兵隊を集める時間がなく、したがってヴィラット将軍の部隊はラペーニャ軍が撤退するのを妨害することになりました。 ヴィクトール元帥は愚かではありませんでした。 彼はマレンゴとフレイドランドで名声を上げ、スペインに来てからというもの、エスピノーザとメデリンでスペインの2大軍勢を破っていました。 彼がタラベラでウェリントン将軍から出鼻をくじかれたのは事実でした。しかしル・ボー・ソレイユ、美しい太陽と兵士たちに呼ばれている彼は、その不幸を運命のいたずらとみなしていました。 「一度も負けたことのない軍人は」 と、彼はよく言っていました。 「何も学ばない」 「ではウェリントン将軍から何か学んだのですか?」 と、ヴィクトール将軍の師団の一つを率いる巨漢のラフィン将軍は尋ねました。 「二度と負けない、ということさ、フランソワ!」 と、ヴィクトールは言って笑いました。 クロード・ヴィクトールは親しみやすく、優秀で、そして暖かい男でした。 部下たちは彼を愛していました。 彼はかつて、兵士のひとりでした。 実際には工兵隊員で歩兵と同じとは言い切れませんが、しかし彼は兵卒のことを知っており、彼らを愛していました。そして彼は一生懸命兵士たちを率いているように、兵士たちにも必死で戦うことを期待していました。 彼は、すべてのフランス兵が言うことでしたが、勇敢ないいやつでした。 ル・ボー・ソレイユ。 そして彼は愚かではありませんでした。 彼は工兵隊のサポートを受けられなかったヴィラットの歩兵部隊が接近してくるスペイン軍に持ちこたえられるとは思いませんでしたが、それでもラペーニャ軍を遅らせることはできると思っていました。 ヴィクトールがラヴァルとラフィンに率いられた二つの師団を回り込ませ、罠を仕掛けている間は、ラペーニャの軍を海岸の狭くなったところに釘付けにできると予想していました。 連合軍は漏斗状に狭くなるサンクティ・ペトリ川の河口に追い込まれることになり、ヴィラットの兵士たちは明らかにプレッシャーの高まる中を真っ向から迎え撃たねばなりませんが、他の2師団が復讐の天使のように背後からやってくることになるでしょう。 わずかなスペイン兵と英軍兵が舟橋を渡れたとしても、残りは生存者が降伏するまで虐殺が続くでしょう。 そしてそれは単純な話でした。 ただ明白な運命を待っているだけのような連合軍はいまだに行軍を続けており、海岸線を3マイルにわたってその列は伸びきっていました。 元帥はタリファからの彼らの行軍を見て、驚きを深めていました。彼らはしゃべりながら歩いており、進路を変え、止まり、また進み始め、そして再び方向転換しました。元帥は、自分の仕事のやり方をわきまえていない将軍たちを敵として迎えているのだということがわかってきました。 ことは、さらに簡単になってきました。 ヴィラットは水路を渡り、位置につきました。彼はいわば、鉄床でした。 そしてラヴァールとラフィンという二つの鉄槌が振り下ろされんばかりに待ち構えていました。そしてヴィクトール元帥は内陸の荒野の丘の上から自分が選んだ戦闘場所に、最後の偵察を出しました。 彼の右手はカディス寄りでしたが、マスケット部隊だけでなく歩兵とともに渡ることのできるアルマンザ・クリークがありました。 中央は、水路の南で、ヒースの点在する荒野の終わりに松林が海の眺めをさえぎっていました。 斥候の報告では、敵の戦列はその林の内側に伸びている小道に沿ってほとんど数珠繋ぎになっているということで、ヴィクトール元帥はラヴァール将軍の師団を松林に攻撃をかけさせ、海岸へと抜くために送り出すことにしました。 そのような攻撃は、海をさえぎる丘のそばの左翼からの妨害を受けるかもしれませんでした。 その丘は丘というほどのものでもなく、ヴィクトールの考えでは200フィートの高さもないような小高い荒地で、しかし十分に険しく、頂上には礼拝堂の跡と風にねじれた木立がありました。ヴィクトールは、自分の敵がそれを守備隊もおかず開けっ放しにするほど愚かではないと思っていました。 しかし兵士がいようがいまいが、その丘は奪取せねばならず、松林も占拠せねばなりませんでした。そうすればヴィクトールの2師団は北に進路を変えて海岸線を上り、海と水路との間の狭くなる場所で連合軍を壊滅するために迎えることができるのでした。 「ウサギ狩りになるぞ!」 と、ヴィクトールは参謀たちに約束しました。 「ウサギ狩りだ!だから急げ!急ぐんだ!昼食にはウサギのシチューだ!」
by richard_sharpe
| 2008-10-23 15:20
| Sharpe's Fury
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